先進医療と遠近両用の白内障手術
2014/06/18
日本の医療制度の一つに「先進医療」というものがあります。
厚生労働省のHPにもきちんと出ていますが、パッと見ても何のことだかよく分かりません。
そもそも日本の保険制度、いわゆる国民健康保険では基本的に「混合診療」を認めていません。
つまり保険診療で認められていない手術や治療方法、お薬を使った場合は、それに関わる全ての診療行為において保険診療を認めないというルールです。
まだちょっと分かりにくいですね。具体的な例を挙げると、
癌になった人が、日本で認可されていない治療薬を使った場合は、お薬の代金のみならず、癌治療に関わる診察や検査なども全て保険が使えないので、今まで保険適応で3割負担だった医療費を、保険が使えなくなってしまうので10割負担しなければならなくなるということです。
しかし、これではお金がたくさんかかってしまうので、受けたい最新の治療法を受けることができる人がかなり限られてしまいます。
そこで一定の効果が認められるがまだ保険を認められない一部の治療法や、今後が期待される治療法の一部に関しては、混合診療を認めましょう、という制度が先進医療という制度です。
現在先進医療として認められているものは56種類あります。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html
これらの手術や治療そのものには保険が適応になりませんが、検査や診察などには保険が適応されるようになります。
この先進医療に認められた白内障手術もあります。
それが「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」つまり、遠近両用のレンズを使った白内障手術です。今まではどうしても高額で難しかった遠近両用の手術も、先進医療の制度を利用することにより費用面での負担が減ります。
また、任意医療保険などに先進医療に対応していれば、さらに自己負担を減らせます。
ただし先進医療の制度を利用できるのは、先進医療の認可を取っている施設だけなので、どこの病院でもできるわけではありません。現在眼科では全国で328施設です。
ちなみに日本全国に眼科施設は8400ほどありますから25施設に1施設しかない計算です。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html
東京都内には40施設ありますが、地方ではまだまだ少ない地域もあります。
大きな総合病院や大学病院であれば全て認可があるというわけでもないので、手術を相談する時には確認が必要ですね。
文責 吉田