視力回復手術を語る 第4回 収差とレーシックその2
眼鏡やソフトコンタクトレンズで矯正できる近視、遠視、乱視は低次収差に分類され、
矯正できない眼(角膜、水晶体)の細かな歪みを高次収差といいます。
これはゼルニケ多項式といって、上から三段目までの低次収差が通常の近視、遠視、乱視を収差として表したものです。レーシックで角膜の形状を変えることで低次収差を無くせば視力が改善しますが、その反面高次収差を生じます。
レーシックを受けた人のデータをみる
左の画像はレーシック術前、右が術後の収差の値です。
全体でみると術後は低次収差が大きく減っていますが、高次収差(High order)が若干増えているのがお分かりかと思います。
この例は近視の度数が-3Dとそれほど強くないため収差の増加もわずかであり、見え方に影響はほとんどありません。しかし近視や乱視が強く、レーシックの矯正量が増えるほど高次収差はより増加するため、見え方の質に影響します。
カスタムレーシック登場
そこで登場したのがトポガイドレーシック、ウェーブフロントレーシックという概念です。
これはレーザーをゆがみの強い箇所に集中的に照射することで、元々もっている眼のゆがみや高次収差を減らせる照射方式です。これらの照射方式により、トータルでみるとレーシック術後の高次収差の増加を抑えることが可能となりました。
レーシックに代わる視力回復手術
ただそれでも-7Dを超えるような強度近視の方にはレーシックによる高次収差の増加は無視できません。強い近視の方にはレーシックではなく、角膜の内側にコンタクトレンズを挿入する『フェイキックIOL(ホールICL)』という視力回復手術が推奨されます。
それは次回にお話ししましょう。