レーシックのリスク、合併症について その1
2018/03/23
南青山アイクリニックは1997年よりPRK、レーシックによる屈折矯正手術を開始し、来年で開院20年を迎えることとなりました。
最近ではホールICLやReLEx SMILE、オルソケラトロジーなど様々な視力回復治療を提供していますが、レーシックが屈折矯正手術の幹にあることは2016年現在においても変わりません。
当院はレーシックを含めた視力回復治療に関して国内で有数の長期実績があり、視力を改善したいと考えている方の不安を解消し満足度につなげていきたいと考えております。
レーシック、特にレーザーでフラップを作成するフェムトセカンドレーザーレーシックは非常に安全性の高い治療です。
とはいっても手術のひとつであることは違いないため、合併症が生じるリスクはあります。
ほとんどは適応条件を守ればまず問題の無いものですが、深くレーシックを理解していただくために記述しておきます。
レーシックのリスク 軽度、時間と共に改善するもの
●異物感(しみる感じ)
【発症時期】レーシック手術手術後麻酔が切れてから、翌日くらいまで
【原因】レーザーにより角膜を切開、切除したため
【症状】ゴロゴロする感じ、しみる感じ
【治療方法】手術直後はゆっくり休む、ドライアイによる場合は医師の指導のもと点眼薬を使う
【解説】レーシック術後は角膜表面にある上皮細胞が傷ついている状態であり、麻酔が切れた後は4、5時間しみる感じ、ゴロゴロ感が続きます。その後徐々に改善し、翌日には痛みが治まっていることがほとんどです。当日は眼を酷使しないように注意が必要です。
●かすみ、ぼやける
【発症時期】レーシック手術直後~翌日
【原因】手術による炎症、角膜浮腫、ドライアイ、淡い濁りなど
【症状】視界が白っぽい、すっきり見えない
【治療方法】手術後、医師の指示通り点眼薬を使い、よく休む
【解説】手術直後はあまり良く見えず、翌朝には視界がスッキリする方が多いようです。角膜に生じている炎症、浮腫(むくみ)、ドライアイによる傷、淡い濁りなどが見えづらい原因ですが、翌日から長くても1週間以内には改善します。術後の検診、点眼はしっかり行いましょう。
●結膜下出血(眼が赤い)
【発症時期】レーシック手術直後~2週間
【原因】フラップ作成時、球結膜(白目の部分)を固定したため
【症状】結膜(白目の部分)に赤い内出血が出る
【解説】レーシックでは、角膜上皮細胞をできるだけ傷つけないよう、角膜表面から約100㎛の層にフェムトセカンドレーザーを照射し角膜フラップを作成します。フラップを作成する際に眼球を吸引するのですが、その際に白目の血管壁が破けて赤く出血することがあります。見た目は赤みが強く心配になりがちですが、通常痛みも無く、時間と共に出血は吸収され改善します。
●眼圧上昇
【発症時期】レーシック手術直後から手術後1週くらいまで
【原因】手術後に使用するステロイド点眼薬の副作用
【症状】眼圧が上昇する
【治療方法】ステロイド点眼薬の変更または中止
【解説】レーシック術後1週間くらいまでは、フラップの内側にDLKという炎症が生じることがあり、その炎症を抑える目的でステロイドの点眼薬を処方します。ステロイドと聞くと使用を極度に恐れる方もいますが、炎症を抑えるためには必要な薬です。ただし、漫然と使い続けていると眼圧が上昇しステロイド緑内障を発症する恐れがあります。ステロイドの使用に関しては、かならず手術を受けた眼科医の指導を仰ぐようにしてください。
●サクションブレイク(フラップ作成時、吸引がはずれる)
【発症時期】レーシック手術中
【原因】まぶたに力がかかる、眼が大きく動くなど
【症状】フラップ再作成のため、結膜下出血が強く出る
【治療方法】数回器具を付け直しても付かない場合、フェムトセカンドレーザーによるフラップの作成を中止。PRKなどに変更
【解説】フラップを作成するために眼球を20秒ほど吸引しフェムトセカンドレーザーを照射しますが、照射中に強く眼を閉じようとしたり眼が大きく動くと吸引がはずれます。これをサクションブレイクといいます。吸引がはずれてしまった場合、再度吸引をかけてフラップを作成し直すので、結膜下出血が酷くなるケースが多いです。治療中はリラックスして臨んでいただくと非常にスムーズに進みます。
また、もともと瞼の幅が狭く、吸引がかかりにくい方がいます。何度かトライしても吸引がかからない場合は吸引を行わないPRKなどに変更するケースが稀にあります。
●不透過気泡層(OBL)
【発症時期】レーシック手術中(フラップ作成時)
【原因】フラップ作成時気泡の集まりが発生
【症状】かすみ(手術中のため自覚は無い)
【治療方法】自然治癒
【解説】フラップはフェムトセカンドレーザーで気泡を作り、その気泡の連続が面となって作成されます。この過程の中で、OBL(Opaque Bubble Layer:不透過性気泡層)と呼ばれる気泡の集まりが発生することがあります。自覚的に症状がある訳ではありませんが、強いOBLが生じるとフラップを持ち上げにくい場合があり、眼に負担がかかります。
レーザーフラップ作成時のポケットのサイズ位置や幅、深さ、また眼に対しての圧力や出力エネルギー量などをバランスよく調整することにより、OBLの発生を抑えることが可能です。
●ドライアイ
【発症時期】レーシック手術直後から手術後3か月くらいまで
【原因】レーシック手術により角膜を切除するため
【症状】一時的にドライアイ傾向。特に、基礎にドライアイがある人は、一時的に悪化する
【治療方法】点眼薬による治療、重度の場合は涙点プラグを施行
【解説】フラップ作成の際に角膜内の三叉神経を切断してしまうため、角膜知覚が低下します。そのため涙液の反射性分泌が減少し涙液量が低下するためドライアイを生じます。三叉神経は緩やかに再生し、改善するまで3ケ月程度かかります。術後はドライアイ用目薬の点眼を必ず行うようにしてください。
最近では、神経の切断を大きく抑える近視矯正手術であるReLEx SMILEを希望する方も増えております。元々ドライアイが強い方にはレーシックよりもReLEx SMILEをお勧めするケースもあります。詳しくはお問い合わせ、もしくはご予約ください。
次回は生じる確率は非常に低いが重症度の高い合併症を紹介します。