視力回復手術を語る 第2回 レーシックのしくみ
2014/06/28
レーシックについて、角膜にレーザーを当てて近視、遠視、乱視を矯正する治療ということは前回お話ししました。今回は少し専門的なお話をさせていただきます。
レーシックではフラップを作成する『フェムトセカンドレーザー』と、近視、遠視、乱視を矯正する『エキシマレーザー』の2種類を主に使用します。
フェムトセカンドレーザーとは
フェムトセカンド(femto second)とは、1,000兆分の1秒という意味です。このとんでもなく速いレーザーを角膜表面から100㎛くらいのところに細かく照射することで、厚みの均一なフラップを作成できます。
フラップを作成してめくることで、角膜上皮はほとんど傷つかずに角膜の大半を占める実質層(コラーゲン)にエキシマレーザーを照射できるため、早期の視力回復が可能となるのです。
エキシマレーザーとは
アルゴン(Ar)とフッ素(F)の混合ガスに対して高電圧をかける(『励起する』といいます)ことで二量体のフッ化アルゴン(ArF)が形成されますが、これは不安定な状態なのですぐに離れようとします。その際に193nmの強力な紫外線を放出します。これがいわゆるエキシマレーザーと呼ばれるものです。特徴としては熱をほとんど発生させないため、角膜に照射しても炎症が出にくい安全性の高いレーザーといえます。
近視・乱視の強さと角膜厚がレーシックの要
レーシックで-1D(ジオプトリー)の近視を矯正するためには、角膜を12~15㎛薄くする必要があり、エキシマレーザーではわずか数秒で照射が終了します。
角膜の厚みの平均は500~530㎛くらいで、レーシック術後の角膜厚は最低400㎛と定められています。つまり、500㎛の角膜厚の人は100㎛角膜を薄くする余裕がある、ということです。
近視の度数だけでいえば、-6~8Dくらいが限度になりますね。
「ならば角膜の厚みが600㎛とか、すごく厚い人ならもっと強い近視を矯正できるんじゃないか!?」
と考えられますが、そうは問屋が下ろさず、色々な問題点が生じてきます。
それは次回にお話しさせていただきます。