円錐角膜とは角膜が薄くなり、前方に突出してくることにより不正乱視が生じ視力が低下する疾患です。 両眼性の疾患ですが、左右の眼で進行の程度に差があることが多いです。中等度までの円錐角膜はハードコンタクトレンズによって矯正できますが、 重度になるとハードコンタクトレンズがうまくフィットしない、またフィットしても視力が出にくい、角膜にこすれて痛みが生じるなどが原因で角膜移植が必要となります。 進行の度合いは個人差がありますが、10~20代の若年者は角膜の強度が弱く進行が速い傾向にあるため、角膜クロスリンキング(リボフラビン紫外線治療)による早期の進行予防治療を強く推奨します。
適応検査で円錐角膜と診断された場合、軽度でもエキシマレーザーを使って角膜を削る視力矯正手術を行うと角膜強度が低下し、円錐角膜が進行する可能性があるので、 レーシックやPRKなどのエキシマレーザーを使った視力矯正手術を受けることができません。
リボフラビン紫外線治療(クロスリンキング)とは、ドイツのSeilerらが開発した方法で、円錐角膜の進行を抑える方法です。 角膜にリボフラビン(ビタミンB2)を点眼しながら、365nmの波長の紫外線を角膜に照射すると、角膜実質のコラーゲン線維の強度が強くなり、円錐角膜の進行を抑えることが可能です。また、角膜が若干平坦になるので、近視の度数を軽減する可能性があります。
麻酔薬を点眼し、角膜上皮をとります。角膜中央部にリボフラビンを約20分点眼します。その後に、リボフラビンを点眼しながら、波長365nmの紫外線を5分間照射します。保護用コンタクトレンズを装用して終了です。
南青山アイクリニックでは円錐角膜の診断・治療のため、当院に通院された患者様の診療情報を用いた医学系研究に対するご協力をお願いしております。 概要はこちらから。
従来の角膜クロスリンキング(以下エピオフ法)では、角膜の表面の皮(上皮-Epiエピ)を取り除くため、術後数日は痛みを感じたり、見え方の回復に時間がかかる欠点があります。
エピオン法はエピオフ法に比べて効果が弱いとされてきましたが、近年紫外線照射中に酸素を供給することにより、エピオン法もエピオフ法とほぼ同等の効果があるということがわかってきました。
※適応につきましては医師にご相談ください。
特殊な薬剤や酸素ゴーグルを使用し、上皮の上から長波長紫外線を当てることがエピオフ法との大きな違いです。
そのためエピオン法では、上皮を温存することにより痛みが少なく、視力の回復が早いとされています。
麻酔薬を点眼し、リボフラビンを点眼します。
その後、酸素をかけながら角膜に紫外線を照射します。保護用コンタクトレンズを装用して終了です。
初期の軽度の円錐角膜の場合は、メガネやコンタクトレンズで対処することができます。しかし、進行すると不正な乱視の増加のためにメガネやソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズでは視力矯正がうまくできません。また、通常のコンタクトレンズで視力が矯正されたとしても、ごろごろ感が強く一日装用することが難しくなってきます。当院では円錐角膜などの不正乱視の方に専用のハードコンタクトレンズ、「ローズK」(メニコン社製)を処方しています。
良好な装用感:軽度から重度までの円錐角膜に幅広く適応するコンタクトレンズデザインにより、良好な装用感が得られます。
良好な視力:コンタクトレンズが角膜上で安定し、良好な視力が得られます。
当院にて米国GP specialist社のアイサイトスクレラルレンズの取り扱いを開始致しました。
角膜内リングは、角膜に半円弧状のリングを挿入することによって角膜カーブをフラットに変え、長期的に円錐角膜の形状を改善します。
もともと軽度近視を治療するために開発されたものですが、円錐角膜の目に角膜内リングを挿入すると円錐角膜の出っ張りが平らになり、コンタクトレンズが装用できるようになったりメガネでの視力が回復される場合があることがわかり、 現在では円錐角膜の治療として使われるようになりました。 メガネ視力の向上が見込める場合はフェイキックIOLによって裸眼視力を回復することも可能となります。 南青山アイクリニックでは、2000年から角膜内リングを導入しています。
点眼麻酔をした後に角膜にフェムトセカンドレーザーによる小さな切開を加え弧状のトンネルをつくります。そこに半円弧状のリングを挿入します。 万が一合わない場合はリングを外すことで元の状態に戻すことができます。
円錐角膜が重度でハードコンタクトレンズが装用できない場合等、角膜移植の手術適応となります。その他に適応となる疾患として、感染などにより強い角膜混濁が生じレーザーで混濁が取れない状態、角膜の内側の内皮細胞が減少し、角膜内水分の調節機能が不全になった疾患が挙げられます。移植手術の種類は様々で、変性や混濁の部位、程度に応じて、全層角膜移植、深層角膜移植、内皮移植などに分けられます。移植する角膜は、アイバンクより提供されたドナー角膜を使用します。
当院では日帰りにて移植手術をおこなっております。
海外のアイバンクより取り寄せたドナー角膜を使用するため、予定手術が可能です。
従来の角膜移植手術の場合、トレパンと呼ばれる器具を用いて患者様の角膜及びドナーから提供された移植片を作成します。円形で切り口が垂直であるため移植後の角膜にねじれが生じる可能性が高いこと、また移植片を一致させるのが難しく縫合を強くする必要があり、術後の不正乱視が生じやすくなります。
また、2011年に厚生労働省の認可を受けた、AMO社最新のフェムトセカンドレーザー『IntraLace iFS』の導入により、 これまで手動でおこなってきた角膜移植の切開をレーザーでおこなう事が可能となりました。このiFSを用いた角膜移植IntraLace Enabled Keratoplasty(IEK)では、レーザー切開によりドナー角膜と患者側の角膜の接合部がピッタリはまるように角膜を凹凸にカットすることができます。その結果、手術直後から滑らかな創口閉鎖を得られ眼球からの房水の漏れなどのトラブルを抑えられます。また切開による傷の回復時間も短く、縫合も従来よりも少ないため術後の乱視の発生を極力抑えることができるといわれています。ただし、角膜の濁りが強い場合レーザー切開をおこなえない可能性があります。適応に関しては診察にて医師が判断いたします。